フレザー:花から生まれたレザー


自然のプロセスから生まれた「ソーシャルイノベーション」

インドの新興企業Phool.coは、捨てられた寺院の花をアップサイクルし、お香や様々なオーガニック製品を開発、販売しております。最近では、"フレザー fleather"と呼ばれるヴィーガンレザーに変える方法を見つけ、世界的に注目を集めています。


彼らが発見した、自然の仕組みからのイノベーションは、経済価値はもちろんですが、環境課題や女性たちの貧困や差別の負の連鎖を断ち切るソーシャルイノベーションを生み出しています。とてもユニークでインパクトある活動ですが、日本ではまだあまり知られていないようですので、海外記事をもとにご紹介させて頂きたいと思います。



大量に破棄される献花の花


3年前、このスタートアップは、ガンジス川に投棄されている大量の花の廃棄物に対処するために、Ankit AgarwalとPrateek Kumarによって設立されました。


ガンジス川は、人々にとって生きるために必要な水資源です。しかし、毎年800万トンもの献花の破棄による影響はあまり人には知られていません。献花に使われた花には、成長を促したり、虫除けのために多くの農薬が使用されています。そうした花の破棄は、川を汚染し深刻な環境問題、健康問題にもつながっていました。しかし、人々の文化である献花を規制したり、コントロールすることは、ある意味尊厳を脅かすものでもあります。


Phool.coは、毎日約8トンもの捨てられた花をリサイクルし、炭を使わない線香、有機堆肥、生分解性の包装材に変えることで、新たな価値を生み出すことに成功しました。




未だ残るカースト制の影響と周辺化される女性たち


この地域では、カースト制の影響が未だ根強く残っており、弱者である女性たちの普段の仕事は過酷で、しかも収入もほとんど得られない状況でした。必然的に子供たちは教育よりも働くことが優先され、教育機会を失った子供たちは、同じ貧困のサイクルに陥っていきます。インタビューの中でも、人間としての自尊心が失われていく負のシステム連鎖から、抜け出せずに苦しんでいる女性たちの悲痛な声が紹介されておりました。(動画は下部)


そんな中、同社は献花のアップサイクル型のビジネスモデルを確立することで、地元の女性の生計を支え、約1,200の農村部の家庭を支援しています。従業員は健康保険やその他の雇用上のメリットを受けることができ、経済的な余裕から精神的な充足、人間としての尊厳を取り戻していく正のサイクルも生まれてきています。


It's not only about financial livelihoods, but also Dignity and Respect.

Ankit Agarwal, Founder at Phool.Co

73 women have been employed full time by PHOOL. Image Source: Phool.co


Image Source: Phool.co


微生物からヒントを得たイノベーション


Agarwal氏によると、Phool.coは昨年、最初に革の代替素材の開発を検討しました。彼によると、同社の研究開発チームは、花くずの上に革に似た白い層ができていることに気づいたときに、フレザーのアイデアを得たそうです。調べてみると、花びらを餌とする微生物が白い層を形成していることが判明したのです。


"Fleather" The New Vegan and Eco-Friendly Leather, Solving Ganga’s Floral Waste Problem


また、フレザーには動物の革のコラーゲンに似たタンパク質が含まれており、それが強度と耐久性を与えていることもわかりました。伝統的な動物の革のように、フレザーは弾力性があり、破損しにくいので、実行可能で、優れた代替品になる可能性もあります。


昨年2月、Phool.coはサーキュラー・デザイン・チャレンジでフレザーの「ベスト・イノベーション・イン・ビーガン・ファッション」を受賞しました。また、Fleatherはインドの有名なデザイナーの興味を引き、彼女はこの新素材を使って仕事をしたいと表明しました。


賞や認知度とは別に、このスタートアップは最近、エンジェル投資家と慈善団体の助けを借りて140万ドルの投資を確保しました。Phool.coはこの資金を使って事業を拡大し、研究を進めていく予定です。




Fleather manufacturing  in the laboratory image Source: Verve Magazine, India



自然の叡智を活かしたサーキュラーエコノミー


彼らのソーシャルイノベーションは、単なる生活費といった経済的な支援だけではなく、生きることへの尊厳、自信を生み出し、時代を超えた負の意識の連鎖を断ち切る活動だと思います。


私は、循環型経済の完璧な例であるインドのPhoolの企業に感銘を受けました。誰もがフォローできるよう 標準化し続けて欲しいと願っています。
5th March 2017, Paul Polman(CEO Unilever)ボール・ポールマン

このソーシャルイノベーションは、まさに自然界にある「プロセス」にフォーカスして、循環型(サーキュラー)、再生型(リジェネレーション )のビジネスを作り出している画期的な事例だと思います。

Image Source: Phool.co



ここでは、バイオミミクリー の言葉は言及されておりませんが、こうした自然界のプロセスやメカニズムに意識を向けることで、このようなイノベーションは今後も生まれていく可能性があると思います。私はこうした、「Biomimicry for Social Innovation」の可能性をもっと広げていきたいと願っています。


企業ホームページ:https://phool.co

関連記事:https://www.veganfirst.com/article/fleather-the-new-vegan-and-eco-friendly-leather-solving-gangas-floral-waste-problem



活動紹介ビデオ(英語)










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